Fly High Award募集について

Fly High Award募集について

第55回報告会から近畿大学・杉浦麗子先生のご寄付をもとに、学生発表賞に「Fly High Award」が創設されました。Fly High Awardでは学生発表賞の優秀者一名に対して海外で開催される国際学会参加費を助成します。以下、概要になります。

  • 審査対象者:学生発表賞口頭発表者のうち希望者
  • 海外で開催される国際学会参加経費実費を30万円を上限として支援する
  • 受賞者は、次年度にフォーラムでの講演(内容は一年間の研究進展、国際学会参加報告)を行う。ただし、受賞者が次年度総会で参加が困難な場合には(例:受賞者が博士課程4年生もしくは修士課程2年生で就職予定)、ズームでの講演およびビデオメッセージ配信でも可とする
  • 受賞者は、国際学会参加報告を提出していただく(報告書は、本ページに掲載する)。

詳細につきましては添付文書をご確認ください。早い段階で国際舞台を経験することは学生にとって文字通り飛躍のチャンスです。多くの学生の積極的なエントリーを期待しています。詳細については、下記のFly High Awardのご案内をお読みください。

Fly High Awardのご案内

またFly High Awardの創設にあたり、杉浦先生より会員の皆様にむけてお言葉をいただいておりますので掲載いたします。

杉浦麗子先生より
~Fly High Awardに寄せて~

第55回酵母遺伝学フォーラム第55回報告会より、学生・大学院生による優れた研究発表を顕彰し、その成果を海外へ向けて発信する支援の気持ちを込めて、Fly High Awardを創設することになりました。前塩﨑会長に引き続き、木村会長、ならびに運営委員の皆様のご賛同とお力添えを得て、このような賞を設立していただいたことに感謝の意を表するとともに、本Awardの趣旨や狙いについて、できるだけ多くの皆様に知っていただくために、筆をとりました。

私が大学院生として初めて参加したアカデミックなミーティングが「酵母遺伝学フォーラム(当時は酵母遺伝学集談会@東京品川きゅりあん)」でしたが、その時に感じた学問的なqualityの高さやインパクトは今も忘れることができません。テクノロジーや学問体系の変遷を経て、今でも私は、「酵母遺伝学フォーラム」は、極めて質の高い研究成果の発表と密度の濃い質疑応答が、若者を中心に行われる国内随一のミーティングである、と確信しています。
また、このフォーラムには「人を育てる」という力があります。私自身もこのミーティングに育てていただき、今日まで長きにわたり、酵母研究を生業としてこれたのも、酵母遺伝学フォーラムに参加した賜物であり、酵母コミュニティー全体に対して大きな御恩を感じております。

私にできるご恩返しとして、「若い世代を育てたい」、という思いから酵母遺伝学フォーラムにおいて、優れた発表を行った学生に対して「Fly High Award」を授与し、副賞として、国際学会参加費用を支援させていただくことをお認めいただきました。国際学会参加や留学が与えてくれるものは、「研究成果を国際舞台で発表する」ことにとどまらず、「研究を媒介とした生涯の友」を得ることであったり、海外の学生・大学院生が、「サイエンスというものを、自然体で、文化・教養の一部」としてとらえているのか、ということにカルチャーショックを受けることであったりします。

私ごとになりますが、私の父は20代の時に阪大の医学部薬理学研究室で助手を務めており、結婚直後、海外から留学のオファーがあったそうなのですが、親戚中を駆けずり回っても、渡航費用を集めることができず断念し、風呂場で声を殺して泣いていた、と母から聞きました。父の思いも引き継ぎつつ、今回のAwardにより、一人でも多くの、優秀な意欲のある学生が、海外での武者修行へ旅立つ支援ができればと心より願っております。また、父が亡くなってから1 5年間、私はほとんど全ての国内、国際学会に母を伴って参加いたしました。大の旅行好きであった母は、酵母遺伝学フォーラムで日本各地を巡り、また飛行機に乗り国際学会に行くことを大変喜んでくれました。今年の1月にその母も亡くなりましたが、父の果たせなかった留学の夢と、母との懐かしい想い出を偲ぶ気持ちも重ね、新たに10年間のFly High Awardを継続させていただければと考えています。

この賞が優れた酵母研究を海外に発信し、次世代の若手研究者の活躍に寄与できれば望外の幸せです。

杉浦 麗子
令和7年9月

写真 父・杉浦 実