会長挨拶

写真:小林先生

2020年4月1日
東京大学・定量生命科学研究所 教授
小林 武彦

この度、酵母遺伝学フォーラム・19代会長を務めることになりました小林 武彦です。どうぞよろしくお願いいたします。 

本フォーラムは、1969年に酵母研究者の集まりとして始まり、今年で51年目となります。私が本会に初めて参加したのは、米国留学から戻った翌々年の1999年の基礎生物学研究所(岡崎)での報告会で、世話人を務められた大隅良典先生(2016年ノーベル生理学医学賞受賞)に誘っていただいたのがきっかけです。最初の印象は、自由で闊達、熱い研究者が多くおられるということでした。それから、本フォーラムの魅力にすっかりハマっていまい、2014年までは毎回参加・発表し、本フォーラムに育てていただきました。2015年に遺伝研から東大に移動してからは大学の業務と開催日が重なることが多く、皆勤賞は途絶えてしまいましたが、部分的にでも必ず参加しています。

私が、本フォーラムが好きな理由は、ストレートに酵母が好きだからです。そして同じように酵母研究を愛する仲間と会えるからです。今更ながら、酵母ほど魅力的な研究対象はありません。大隅先生の見つけられたオートファジーもそうですが、多くの重要な発見は酵母研究から生まれました。私は老化の研究をしていますが、ヒトの老化に関わる重要な遺伝子の多くは酵母で見つかり解析されてきたものです。

もちろん「飲・食」でも酵母は、欠かせません。酒類はもちろんパン、醤油、発酵食品等々、おそらく人類がもっとも「お世話になっている」生き物の1つでしょう。研究してよし、食べてよし、飲んでよし。これだけでも酵母を好きになる理由は十分ですが、最近では、バイオエタノールなど次世代のエネルギーや環境問題での貢献も期待されています。さらに酵母をベースにした医療や産業利用を目的とした「人工細胞」の研究も始まっており、今後も益々「お世話になる」生き物です。

本フォーラムの活動が、酵母研究の発展の一翼を担えれば幸いです。